高知で25年以上、リウマチ診療にあたってきましたが、以前に比べるとリウマチの治療もずいぶん変わりました。昔はプレドニンや、シオゾール、リマチル、アザルフィジンといった薬が中心で、
その効果も限定的で関節が次第に変形していく患者さんが多く、それも仕方のないものと捉えられていました。
しかし、平成11年にメトトレキサートがリウマチの治療薬として承認され、平成23年には、増量投与が可能になったことで、
関節炎のコントロールがかなりできるようになりました。
さらに平成15年には注射薬である「生物製剤」が使用できるようになり、関節炎を完全に抑制し、場合によっては、破壊された関節が修復されることが証明され、その劇的な効果に驚かされたことでした。
現在、生物製剤は7剤が発売され、またJAK阻害剤という生物製剤に匹敵する効果のある内服薬も使えるようになり、治療の選択幅が大きく拡がりました。その結果、炎症が十分に抑制されるようになり、
昔は持続する炎症が原因で発症していたアミロイドーシスという腎臓や腸の障害をきたす、時には致命的となる合併症もあまりみられなくなっています。
しかし反面、メトトレキサートや生物製剤による免疫抑制のため、ニューモシスチス肺炎やサイトメガロウィルス感染、非結核性抗酸菌症、悪性リンパ腫の合併など以前にはあまり見られなかった疾患が増えてきています。 したがって、リウマチの治療においては、
これら薬剤の効果と副作用のバランスをうまくとって、使用していくことが重要と思われます。
当院のリウマチ専門外来では、患者さんの現在の状態、検査結果、薬剤の効果と副作用について説明し、ともに協力してリウマチの治療を行っていきたいと思います。
医師
リウマチの治療もメトトレキサートに加えて、生物製剤、JAK阻害剤といった新しい薬剤を使用することにより、関節破壊の防止、寛解へ の導入が可能となり、さらに生命予後も大きく改善できるようになりました。ただ、これらの薬をみんなが使えるというわけではありま せん。患者さんそれぞれの状態に応じた最適な治療法を、患者さんと相談しながら考えて行きます。